闘う弁護士の不動産投資小話~兵法 2019年3月号
金融引き締めで買い手減少
商機とするか自分の頭で考え判断
「時期が良かった」。昨日、弁護士出身でリーガルテックの分野で起業された方の講演を聞きに行った際に、ご自身の成功の秘訣をこのように話されていました。その方は、弁護士として独立して2~3年経過した時点で起業したのですが、当時、リーガルテックが世間に認知され始めたころでした。ちょうど弁護士事務所経営が軌道に乗ってきて余裕ができたのと、まだリーガルテックの分野で競合がいない状況だったので、思い切って起業したそうです。彼曰く、「グリーの田中氏や、Facebookのマークザッカーバーグが台頭したころに、自分がSNSで起業しようとは思わなかっただろう。自分の事務所の状況と、やりたいことの競合がいない状況がたまたま合致した」とのこと。加えて、「幕末の動乱の時期でなかったら、坂本龍馬も西郷隆盛も英雄にはなれず、単に地位の高い武士にとどまっていたでしょう」とも語っていました。
これは本当に真実を語っていると思います。弁護士の業界でも、債務整理や過払い金返
還請求で荒稼ぎした弁護士が、リーマンショックで暴落した不動産を買いまくるということがありました。過払いバブルで多額のキャッシュを手にした時期と、不動産の価格が下がる時期が見事に一致したのです。その弁護士たちの中には、不動産の賃料収入で年間10億円という強者もいます。本当に時期が良かったのだと思います。
ひるがえってみると、現代はどのような時期でしょうか。スルガ銀行やTATERUの問題に引き続き、レオパレスの施工不良問題でアパートに対する融資が閉ざされる流れです。「いまは買う時期ではない」と決断することも考えられるでしょう。逆に、買える人が大幅に減るので、キャッシュが潤沢な人は大きく指し値をして買う方法もあるかもしれません。
うまくいけば、「時期が良かった」となるかもしれません。ただ、この時期に買うとしても、何も考えずに「時期が良かったので儲かった」となる市況ではありませんので、しっかりと目を養う必要があります。自分の頭で考えて投資する人だけが生き残る時代が到来したと言えるでしょう。