闘う弁護士の不動産投資小話~兵法 2019年6月号
五輪より融資環境を重視
不動産購入の好機を見極め
「東京オリンピックが終わると、不動産価格は下がるのではないですか?」不動産投資の講演や執筆活動をしていると、このような質問をされることがよくあります。この質問に対してどのように考えるべきでしょうか。
この質問の裏には、「今は買い時ではないのでは?」という意味が込められているのだと思います。そして、そのような質問者は不動産投資未経験者であることが通常で、買わない理由を探しているように思えます。いつまでたっても、結局買わないで、普通預金で安定を求めます。私見ですが、東京オリンピックは訪日外国人の数には大きく影響すると思いますが、不動産価格とは因果関係はないと思います。印象論で、「オリンピックが終わると不況になる」とか、「不動産価格が下がる」とか論じる人は、論理的ではないと思います。不動産価格の変動には、さまざまな要因が影響しますが、私が最も重要視しているのは、金融機関の貸し出しに対する積極性です。不動産投資は融資を引いて行うことが通常ですので、金融機関が融資を引き締めているタイミングでは、買える人が大幅に減少します。物件を売りたい人の数は一定ですので、買える人が減少すると、価格が下がるのは当然です。
そして、そのような金融の引き締めの時期というのは、金融資産や自身の収入の額が抜きんでているとか、不動産投資で実績をあげていて、借り入れ残高が減っていて、債務償還年数も短いといった属性の優良な方のみが融資を引くことができます。ということは、オリンピックを言い訳に投資に踏み切っていない初心者の人は、せっかく融資が引き締まって価格が下落している時期に、不動産投資の実績がないという理由で、結局は「買えない」という皮肉な結果となるのです。
もちろん、業者にたっぷりと利益を乗せられた物件を高値づかみしていると、次の借り入れは難しくなりますが、それはオリンピックの前でも後でも変わりません。目を養って、優良物件をいち早く購入し、優秀な賃貸経営の実績を積んでおく。これこそが価格暴落時に融資を引いて、安い物件を大量に仕入れるコツです。