闘う弁護士の不動産投資小話~兵法 2019年7月号
収益不動産投資の再生工場
土地の価値を最大限に引き出す
私は、「1人デベロッパー」と呼ばれていますが、都心開発型の投資を得意としています。都心開発型の投資とは要するに、都心部で、更地もしくは築古の物件を仕入れてきて、建物を新築あるいは建て替えをして、土地の価値を最大限に活用するという方法です。
築古の物件は、容積率を使い切らずに低い階層で建てられていることがよくあります。本当は7階建てになるのに、あえて木造で2階建てとなっている建物をよく見かけます。また、築年数の古い物件は、賃料単価も安く、収益を生み出せません。貸せる面積が小さくて、貸す単価が低いので、土地の価値を生かせていないのです。都心部で土地の価格が高い地域では、このことは致命傷となります。
よって、そのような「本当は価値がある土地であるにもかかわらず、自分の力を発揮できていない土地」を安く買ってきて、「本当の力」を引き出してあげるというのが、真の不動産投資家の使命となります。
プロ野球の世界で、「野村再生工場」と呼ばれた野村克也監督をご存じでしょうか。野村監督は、南海の監督時代から、他球団で自由契約やトレードで放出された選手を獲得し、見事に復活させるという手腕が注目され、のちに「再生工場」のニックネームがつきました。野村監督は、まさに、選手の「本当の力」を引き出して、ヤクルトスワローズの監督時代、万年Bクラスだったチームを4度優勝させています。都心開発型で投資するというのは、いわば不動産投資の再生工場なのです。
ちなみに、読売巨人は「30億円補強」といわれるように、他チームの主力選手をお金の力で買ってきて、4番バッターやエースをズラリとそろえる補強を繰り返してきました。いわば、出来上がった商品を買っているのですが、結果はうまくいっていません。巨人の補強戦略は、不動産投資でいえば、エンド投資家の投資手法で、出来上がったパッケージ商品を買ってくるのですが、あまりもうからないのです。
私は実は巨人ファンなのですが、お金持ちになりたければ野村監督に学ぶべきということは分かります。